ドックコーディネーターってどんな資格?

日本の歯科業界にはたくさんの資格制度が存在し、その代表格が歯科医師免許・歯科衛生士免許・歯科技工士免許です。

これらの資格は「国家資格」といって、国で認められている認定制度です。しかしその他にも、「協会認定資格」「学会認定資格」など、自身のスキルアップのための資格がたくさん制定されています。

今回はたくさんある資格のうち、特に歯科衛生士向けの資格「ドックコーディネーター」について、徹底解説しますよ!

* この記事は2020年7月3日に更新しました

[目次]
1.ドックコーディネーターとは?
2.ドックコーディネーターの業務
3.資格取得の申請に必要な条件
4.資格のとりかた・費用について
5.ドックコーディネーターの働き方(coming soon…)

1.ドックコーディネーターとは?

1998年に発足した一般社団法人 ジャパンオーラルヘルス学会(旧 日本歯科人間ドック学会)が認定している「学会認定資格」で、2020年7月現在、136名が取得しています。

歯科衛生士が正しい知識と技術の元に、歯科人間ドックにおいて検査と健康指導を実施するために制定された認定制度です。

歯科人間ドックは、口腔内の検査を通して、口腔内だけでなく全身の病気をも早期発見することを目的として実施します。

それによって、一生涯自分の歯で快適に食事ができるようにするのです。

2.ドックコーディネーターの業務

歯科ドックの基本的な流れは、図の通りです。

歯科ドックの基本メニュー(ジャパンオーラルヘルス学会 HPよりdStyle編集)
歯科ドックの基本メニュー(ジャパンオーラルヘルス学会 HPよりdStyle編集)

このような検査の流れを患者さんに説明したり、歯科衛生士でも実施可能な検査(口腔内写真撮影など)を行ったりするのがドックコーディネーターのお仕事です。

施設により内容は異なりますが、日本歯科大学附属病院の歯科人間ドックでは、問診の聞き取りと唾液検査、口臭検査、口腔内写真の撮影などを行っているとのこと。

近年、お口の健康は全身の健康へ繋がるといわれていることや、“治療から予防へ”と意識がシフトしていることから、歯科ドックの需要は伸びつつあります。

ドックコーディネーターは「検査のプロ」ですから、口腔内の疾患と、基本的な全身疾患の所見、検査方法を学びます。

3.資格取得の申請に必要な条件

  1. 日本国歯科衛生士の免許を有すること
  2. ドックコーディネーター認定試験を受験し、合格すること
  3. その他、認定制度委員会が特別に認めた者

一般社団法人 ジャパンオーラルヘルス学会 ドックコーディネーター制度施行細則より抜粋

ドックコーディネーター認定資格は、歯科衛生士免許を持っている方であれば、誰でも取得可能です。

しかし、ジャパンオーラルヘルス学会の会員であれば、登録料の免除や更新手数料の割引があります。入会は、認定試験の申請の際にも受けつけています。

4.資格のとりかた・費用について

上記の条件を満たせば、認定制度委員会による認定歯科衛生士試験を受けることができます。このときに認定試験受験料として、3,000円を事務局に支払います。

試験は年に2回行われ、試験に合格すると資格を取得できます。

認定試験スケジュールはこちら

試験に合格後、登録料6,000円を支払い、手続きが完了すると、認定証が交付されるとともに、ホームページ上に掲載されます。なお、学会会員の場合は、登録料が全額免除されます。

書類審査

まず、書類審査に必要な以下4つを揃えて、事務局に送ります。

  1. ドックコーディネーター申請書
  2. 履歴書
  3. 歯科衛生士免許証の写し
  4. 会員歴証明書(当学会会員の場合のみ)

申請書・履歴書のフォーマットはこちら

認定試験

試験は筆記試験のみで、事前講習会などの実施はありません。

試験問題には、マークシート形式の多肢選択問題と、400字程度の記述問題の2種類があります。選択問題については、すべて学会HPの公開問題と、こちらのテキストから出題されます。

公開問題はこちら

小川智久(2013)『これさえあれば明日からできる! 新・歯科人間ドック基本マニュアル』クインテッセンス出版
『これさえあれば明日からできる! 新・歯科人間ドック基本マニュアル』へ

資格の更新について

ドックコーディネーターの認定期間は5年間とされています。

更新の申請は、認定失効期日の2ヶ月前までに行う必要があります。

更新手数料は学会会員の場合2,000円、非会員の場合8,000円。認定歯科衛生士の更新を申請するには、以下の書類のうち必要なものを提出します。

  1. 認定歯科衛生士更新申請書
  2. 学術大会出席証明書
  3. 研修会出席証明書
  4. 学会発表・学会誌投稿証明書
  5. ジャパンオーラルヘルス学会会員歴証明書

また、資格更新の条件は、学会会員の場合と非会員の場合で内容が異なります。

会員の場合

更新までの5年間で、次の4項目のうち、どれかひとつを満たしていれば更新資格が得られます。

  1. ジャパンオーラルヘルス学会の学術大会の出席:1回以上
  2. ジャパンオーラルヘルス学会の研修会・セミナー・シンポジウムへの
    出席:1回以上
  3. 学会発表あるいは学会誌投稿(本学会が認める学会含む):1回以上
  4. 本学会が認める学会主催の学術大会への出席:1回以上

非会員の場合

更新前 5年間で、次の項目のうち、12単位以上を取得する必要があります。

  1. ジャパンオーラルヘルス学会の学術大会・研修会・シンポジウム・セミ
    ナー:それぞれ1回あたり4単位
  2. ジャパンオーラルヘルス学会教育講演(学術大会プログラム内):1回あたり2単位

***

何事も早期発見がとても重要です。

ドックコーディネーターは正しい知識をもち、高水準な歯科ドックを行うことで、国民の健康福祉に貢献できる資格です。

まずは公開問題やテキストを読んだり、受講生の声を直に聞いてみるのもいいかもしれませんね。

応援しています!

その他の歯科衛生士・歯科助手向けの資格はこちら
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