わたしのDHスタイル #22 一之瀬くに子さん『わからないと言える勇気』

歯科衛生士は社会的価値の高い大切な職業であり、この社会になくてはならない存在です。

dStyleでは、今まさに臨床の現場ではたらいている方々にスポットライトを当て、等身大の歯科衛生士ライフを語っていただきました。

このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。

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今回は、歯科衛生士歴21年目の一之瀬くに子さんにお話を伺いました。

新卒から20年勤めた歯科医院を退職し、他業種の業務を経験。現在は埼玉県の大岡歯科医院で常勤として働くほか、2軒の歯科医院で立ち上げ支援やスタッフ教育などを行っています。

大岡歯科医院 一之瀬くに子さん
大岡歯科医院の立ち上げ支援で設置した両開きのカウンター

仕事をする上でこだわっていること

まずは、理由なき行動はしないようにしています。

なぜ「それをするのか」を説明できないということは、自分が行動する理由や根拠を理解していないということ。つまりそれは無責任な行動につながりますので、患者さんや後輩にしてはいけないと考えています。

歯科衛生士業務ではあまり実感はないかもしれませんが、歯科医療というのは跡が残る治療を行うことが多いです。

患者さんの貴重な時間やお金を無駄にしないためにも、自分自身がきちんと施術内容それらに関わる仕事を理解していないといけないという思いで業務にあたっています。

つぎに、患者さんや同じ職場のスタッフに感動を与えられる存在になること。人は、自分の予想したことを遥かに越えた対応をされた時に感動しますよね。

たとえば、お身体が不自由な患者さんを担当した時に、その方が2回目に来院された時にドアをそっと開ける、入り口に近いチェアに誘導するとか。このような、その方が求めていることを、言葉にされる前に行動する気遣いは、歯科衛生士だからできることだと思うんです。

当たり前のことと思われるかもしれませんが、いつもどんな時でも、その「当たり前のこと」ができるというのは、意外と難しかったりします。

日本って「おもてなし」社会ですよね。昨年、北欧研修に行った時に感じたのが、現地のスタッフさんは基本的に自己完結で、良い意味で自分のすべきことしかしない。それ以上のことはしないけど、自分の仕事は責任をもって完結させる。

反対に日本はどちらかというと、困っているスタッフがいたら、自分の時間を使ってでも手を差しのべる。自分一人じゃなくてみんなで働いているという意識が強いと思いました。

このような小さな積みかさねの繰り返しで、患者さんだけでなく、共に働くスタッフに対しても感動を与えられるように気をつけて仕事をしています。

後輩指導の様子
後輩指導の様子

働く中で、うれしかった出来事

新人で、患者さんを担当し始めたばかりの頃に、患者さんに質問されたことに対して答えに迷ってしまったことがありました。

その時に患者さんに、「いくつか方法はあるけれど、どれが〇〇さんにとっていちばん良いかわからないから、先生に確認してきてもいいですか」とお話ししたら、その患者さんはうなずいて、私の返答を待ってくださったんです。

その後、その患者さんは歯周治療が終わったあとも、継続してメインテナンスに通ってくださり、長いお付き合いが続いています。それから日が経ち、私も後輩を指導する時期がきて。

後輩と一緒にその方を診た時に、「一之瀬さんはわからないことをきちんとわからないと言える子だったから、まだ新人で若かったけど、すごく信頼できて、自分の口を任せて良いなと思ったんだ」と言ってもらえたことが嬉しかったです。

私たちの仕事は、口の中のことなので、患者さんが見ることができないこともあります。そのため、手を抜こうと思えばできてしまうし、適当に答えてしまうこともできます。

わからないことをわからないと言えることは、患者さんとの信頼関係を築くために、すごく大事だなと思いました。

大岡歯科医院 一之瀬くに子さん

今までの人生の中で、やっておいてよかったと思うこと

たくさんの本を繰り返し読むことは、やっておいて良かったなと思います。

朝起きてから朝食までの10分から20分を読書の時間に当てていて、それを15年くらい続けています。

自分の経験を記事にしたり、勉強会で発表したりする時などには、自分が勉強したことだけ、言いたいことだけを伝えようとしても聞いてもらえないし、結果として意味がないと思うんです。

院内勉強会をするということは、みんなにも勉強してほしいからですよね。なので、みんなにも興味を持ってもらえるようなやり方がすごく大事です。

ボキャブラリがたくさんあった方が、いろんな相手に合わせることができると思うので、朝の読書では、歯科関係の本以外の本を読むようにしています。

また、何度も同じ本を読むようにしています。一回では頭に入ってこないので、何度も読んで。

何回も読んでいるうちに自分の覚えている部分とそうでない部分がはっきりしてくるので、その中で気になったり、わからないことを調べる。それが知識になっていくと思うんです。

お気に入りのグッズ

TePe GOODです。

北欧研修で、ずっと愛用している歯ブラシメーカーのTePeの方から教えてもらった“SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS(SDGs;持続可能な開発目標)”の取り組みに感銘を受けました。

* SDGs…2015年に国連加盟193ヶ国が掲げた、持続可能でより良い世界を目指すための国際目標

SDGsでは、自分の会社の利益だけを求めるのではなく、世界中の人にできることが何なのかを考えた事業に取り組むために、17個のテーマが用意されています。

SUSTAINABLE  DEVELOPMENT GOALS
SDGs(持続可能な開発目標)が掲げる17の目標

その中でTePeは「環境」について取り組んでいくことを目標にしていて、TePeGOODがその製品にあたります。

歯ブラシは消耗品なので、人が生きている限りずっと作られ続けますが、その度にCO2を排出します。

TePeGOODは、従来の工程よりもCO2の排出を抑えることができる製品。環境にも配慮しつつ、人に必要とされるものを作り続けるというコンセプトがすごくいいなと思いました。

今まではTePe コンパクトソフトを使っていましたが、それと比べると歯肉にあたる毛先の感じがすこし違います。

そのため、使い心地がいつも使っているのと違うし…という意見もありますが、エコロジーって多少自己犠牲を払うことだと思うんです。紙のストローって飲みにくいですよね。でも、環境にとっては良い製品です。

そんな感覚を味わった方が「エコしてる」感じがあるじゃないですか。それが、普通の商品と遜色ないクオリティになってしまったら、自分がしている行為がエコロジーなんだ、という実感が薄れてしまうと思うんです。

だから私は、そこに差があってもいいんじゃないかと思うんです。

その感触が残っていることで、「またエコしよう」と、他のエコロジーへの行動を導くことにつながるんじゃないかなと思います。

TePeGOOD。ブラシや柄の部分に違いを感じる
TePeGOOD。ブラシや柄の部分に違いを感じる

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