わたしのDHスタイル #12 米可那さん『マイクロスコープを最大限に活用する』

歯科衛生士は社会的価値の高い大切な職業であり、この社会になくてはならない存在です。

dStyleでは、今まさに臨床の現場ではたらいている方々にスポットライトを当て、等身大の歯科衛生士ライフを語っていただきました。

このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。

***

今回は、歯科衛生士16年目の米可那さんにお話を伺いました。

結婚を機に1年休職したのち、やっぱり歯科衛生士の仕事がしたい!と3年前に復職。現在は樋口歯科医院にて勤務している米さん。

また、日本顕微鏡学会の認定資格も取得しており、毎日マイクロスコープを使用して歯科衛生士業務を行っています。

樋口歯科医院 米可那さん
樋口歯科医院 米可那さん

マイクロスコープをはじめた「きっかけ」

院長が、歯科医院全体のレベルアップのため、歯科衛生士にもマイクロスコープを使ってほしい!と各ユニットにマイクロスコープを導入しました。それがきっかけで、毎日の診療でマイクロスコープを活用するようになりました。

院長先生と症例について相談している様子
院長先生と症例について相談している様子

仕事をする上でこだわっていること

いかに効率よく確実な診療ができるかを考え、毎日の診療で研究をつづけながら成長できるように動いています。

ミラーを使用せずに肉眼で診療をしていたときは、手指感覚に頼ることも多く、歯石の取り残しやこまかい変化に気づけていなかったように思います。

また、動画での説明はインパクトもあり、視覚にダイレクトにアプローチできるため、患者さんに情報が伝わりやすくなりました。患者さん自身が口腔内の問題に目を向けやすくなり、きちんと自分のこととしてとらえてもらえる説明ができるようになったと感じます。

マイクロスコープで録画した映像を患者さんに説明する様子
マイクロスコープで録画した映像を患者さんに説明する様子

今まで人生の中で、やっておいてよかったと思うこと

認定資格の取得を目指して、マイクロスコープの構造や仕組みについて勉強したことは、自分にとって、とても役に立ちました。

最初は自己流でマイクロスコープを使っていましたが、その方法が正しいかどうかわからなかったため、講師の先生を呼んで基礎を教わりたいと院長に頼みました。

講師の先生からは、「脇をしめること」「ミラーを持つ手の固定の方法」「ハンドピースの持ち方」などを教えていただきました。すぐには理解できなかったこともありましたが、教わったことを徹底的に意識することで理解できるようになりました。

そして、意外にもマイクロスコープを使う以前に解決するべき問題がたくさんありました。たとえば、「脇がひらいていては精密な動きができない」「持ち方によってハンドピースの動かし方に影響がでる」といったことです。このように、いつのまにか身についてしまったクセを正すきっかけにもなりました。

診療中の米さん
診療中の米さん

オススメの練習方法

マイクロスコープが導入されることになった際、「マイクロあるつもりトレーニング」を行いました。

左手に持っていたバキュームをミラーに変え、吸引は排唾管を使用しました。そして、ミラーであらゆる方向から口腔内を確認するようにしました。

練習の様子
練習の様子

マイクロスコープが設置されてからは、「一人の患者さんに対して1ブロックは必ず使用する」と自分でルールを決めて、できる範囲を少しずつ増やしていきました。まずは下顎前歯のスケーリングからはじめ、うまくできない部位については周りの人にアドバイスをもらいながら、日々使い方を研究しました。

超音波スケーラーで全顎のスケーリングができるようになってから、SRPのときにも使用するようにしました。SRPでは、歯石がついているところに確実にアプローチできるようになったと感じます!

樋口歯科医院にはマネキンがなかったので、粘膜の代わりにグローブを顎模型に装着し、空箱にタオルを入れて固定させたものを、口腔内に見立てて練習しました。マネキンがなくても、身の回りにあるもので練習はできます!

練習用の模型
練習用の模型

そしてこれは、学会発表の資料作成をしているときに、環境が整っていなくても、マイクロスコープの練習はできるのではないかと考えついた方法です!

スマートフォンを用いて練習する方法
スマートフォンを用いて練習する方法

スマートフォンのカメラを最大に拡大し、対物レンズの位置で持つと、ミラーを使用しながら診療する感覚をつかむことができます。

オススメの器具

ネオ製薬工業株式会社のマルチサクションと、CK DENTALのIRRGATION NEEDLE TIPSを組み合わせて、ポケット内の歯石を確認しながら除去しています。

「マルチサクション」と「IRRGATION NEEDLE TIPS」を組み合わせたもの
「マルチサクション」と「IRRGATION NEEDLE TIPS」を組み合わせたもの

血液を吸引しながら、ポケット内をしっかりと確認できるので、SRPを行うときにオススメです。

血液の吸引によって明示された歯肉縁下歯石
血液の吸引によって明示された歯肉縁下歯石

現在取り組んでいること

私は、歯科医院に来院された方だけではなく、マイクロスコープで録画した動画などを活用して、一般の方にも予防推進活動を行いたいと思っています。

そこで、「歯科疾患の予防は子どもの頃からはじめなければいけない」ということを伝えるため、親子セミナーという予防活動をはじめました。

親子セミナーで講演する米さん
親子セミナーで講演する米さん

臨床現場で働く中で、8020を達成されている方は、子どものときから親御さんに、歯についてしっかり教育されていた方が多いということに気づきました。

まずは、親御さんが正しい知識を持って子育てを行うことが大切だと思います。日本ではまだまだ歯科予防が進んでいないので、一人でも多くの人に正しい知識と正しいケアの仕方を伝えていきたいです!

今後は、歯科が入っていない病院や産婦人科などとも連携をとって、活動できたらと考えています。

親子セミナーで使用するプレゼンテーション資料
親子セミナーで使用するプレゼンテーション資料

これからマイクロスコープをはじめたいみなさんへメッセージを!

マイクロスコープはむずかしそう!と思われる方が多いかもしれません。

たしかに練習は必要ですが、仕組みを理解し、毎日使い方を研究していくことで、自分自身も患者さんも成長できる最高の機械です!

環境が整っていない方でも、まずは左手にミラーを持って色々な角度から診る「withミラー診療」をはじめてみませんか?

マイクロスコープを使用して診療している米さん

***

dStyleでは、“歯科で働く希望と可能性をあなたに”をコンセプトに、さまざまなフィールドで活躍する歯科衛生士の方々へインタビューを行っています。

ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひご応募ください♪

お問い合わせは公式TwitterFacebookInstagramにてお受けしています。