わたしのDHスタイル #15 小谷康子さん『40年以上の歯科衛生士人生を通して感じること』

歯科衛生士は社会的価値の高い大切な職業であり、この社会になくてはならない存在です。

dStyleでは、今まさに臨床の現場ではたらいている方々にスポットライトを当て、等身大の歯科衛生士ライフを語っていただきました。

このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。

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今回は、歯科衛生士歴43年目の小谷康子さんにお話を伺いました。

出産を機に、34歳から8年間休職したのち、非常勤として復帰。

復帰してからは、新規開業する歯科医院の立ち上げを手伝いながら、現在も歯科衛生士として、初めて就職した歯科医院に勤務し続けています。

藤原歯科医院 小谷康子さん
藤原歯科医院 小谷康子さん

復帰後も同じ歯科医院で働こうと思ったきっかけ

私が現在勤務している藤原歯科医院には、1977年の開業時から約14年勤務しました。当時のオープニングスタッフとして、歯科医院の基礎を築いてきたという思い入れがあり、再就職を決めました。

また、40数年前の開業時から、「予防やメインテナンスが大切で、私たちは歯槽骨を守らなければならない。それにはコ・デンタルスタッフの力が必要である」「患者さんを中心に、歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士が連携して患者さんの健康を守る」と考える院長を尊敬し、信頼していました。丁寧な治療や対応によって、患者さんからも大きな信頼をよせられていましたし、勤務するスタッフはひとつになって、厳しさと楽しさを感じながら仕事ができていたのではないかと思います。

こういったことから、再び仕事をしたいと思える職場でした。

開業時の藤原歯科医院
開業時の藤原歯科医院

仕事をする上でこだわっていること

まずは、いつも笑顔でいること。そして、患者さんの言葉をしっかりと受けとめ、それぞれにあったコミュニケーションをとるようにしています。

患者さんには、家族や身内、友達のような気持ちで接しながらも、歯科衛生士という立場を忘れず、丁寧な言葉遣いや適切な距離感で対応することも大切だと思います。

患者さんの良きアドバイザーとして、より良いCureとCareを提供できるよう心がけ、患者さんが“ここに来てよかった”と笑顔で帰られることを願っています。

患者さんと笑顔で接する小谷さん
患者さんと笑顔で接する小谷さん

働く中で、うれしかった出来事

嬉しいことや悲しいこと、辛かったこともたくさんありますが、とくに心に残っていることがふたつあります。

ひとつ目は、8年のブランクから復帰して間もない頃のことです。

休職前は、自信を持ってなんでもできていたのですが、復帰後は戸惑うことも少なくありませんでした。

一度患者さんに、「新人さん?」と言われたときは、涙が出るほど悔しかったです。そんなとき、休職前に長年担当していた患者さんが私の復帰を喜び、「またよろしくね!」とおっしゃってくださいました。

この日は、悔し泣きと嬉し泣き、両方しましたね。ほかにも、「また担当してほしい」と言ってくださる患者さんも多く、とてもありがたいと思いました。

もうひとつは、私が5年目のときから35年間担当した患者さんからお便りをいただいたことです。

ご高齢のため、老人ホームに入居され、当院に来院できなくなったとのことでした。そういった状況の報告に加えて、今までのメインテナンスに対するお礼の言葉と、「老人ホームでの歯科検診では手入れが良いとお褒めをいただいている」というコメントをいただきました。

私が休職している間は、後輩がしっかり引き継いでくれていたので、この患者さんには35年という長期間、歯科医院に通院を続けてもらうことができました。

できれば、どの患者さんとも最期までお付き合いをしたいというのが本音ですが、在宅や病棟の歯科衛生士に、タスキをつながなければいけないときは訪れます。そのことを強く実感する出来事でした。

しかし、タスキをつなぐその日までは、歯科衛生士としてしっかり患者さんに寄り添っていきたいと思っています。

患者さんからのお手紙
患者さんからのお手紙

今までの人生の中で、やっておいてよかったと思うこと

専門学生時代のアルバイト先では、歯科衛生士の卵として丁寧に指導していただきました。印象材やセメントの硬さにおいては、ひとつひとつ正確にできるまでやり直しました。

診療室では厳しいですが、そこを離れると、先生方や歯科衛生士の院長夫人はとても優しく、アットホームな雰囲気に包まれていました。このときに経験したこと、体感したことは、卒業後の仕事に対する志につながったと感じます。

また、中学、高校時代の部活では、上下関係やチームワーク、「阿吽(あうん)の呼吸」といったコンビネーション、コミュニケーション力、体力、気持ちの切り替え方などが身についたと思います。これらは、歯科衛生士として働く中でも、必要なことだったと感じます。

メインテナンスを行う様子
メインテナンスを行う様子

お気に入りのグッズ

バトラーの歯ブラシは、40年以上前から主に使用しています。番手は変化しているものの、スタンダードな形は変わることなく、良好なプラークコントロールを得られます。

臨床現場で扱う器材は、新しく開発されたものや消え去るもの、改良されるものなど、いろいろな変化があります。自分自身の知識をアップデートしながら、あるものをなんでもうまく駆使するよう心がけています。

40年以上愛用しているバトラーシリーズの歯ブラシ
40年以上愛用しているバトラーシリーズの歯ブラシ

現在取り組んでいること

これまで歯科衛生士としてはたらく中で、院内の業務だけでなく、セミナーのお手伝いや講師、学会発表、他院のお手伝いなど、さまざまな経験をさせていただきました。

そんな歯科衛生士人生も残り少なくなってきましたが、これからも患者さんが生涯食事を楽しみ、健康な生活を送る力になれるよう努めたいと思っています。

治療の説明を行う小谷さん

また、 後輩たちが歯科衛生士という仕事のやりがい、楽しさを感じることができるよう、応援したいです。

歯科衛生士は多くの患者さんと出会い、二人三脚で歯周治療をスタートさせます。そこで、患者さんからの信頼を受け、それに応えるために、私たちは日々研鑽しますよね。

治療が進むと、患者さんのブラッシングは上達し、プラークコントロールが良好になります。その後、歯肉は健康をとりもどし、すべての治療が終わると、患者さんだけでなく、私たちも笑顔になります。そこからも、その健康が崩れることがないように、二人三脚はずっと続きます。

10年後、20年後、30年後も、患者さんが笑顔でいられるように。そう心がけて取り組んでいれば、歯科衛生士も最高の笑顔で仕事を楽しめると思います。

小谷さん(上段右端)と後輩スタッフのみなさん
小谷さん(上段右端)と後輩スタッフのみなさん