認定歯科衛生士FILE #15『日本歯科医学振興機構(JDA) 臨床歯科麻酔認定歯科衛生士』内藤和美さん

学会などが認定している認定歯科衛生士制度。

専門性の高い臨床を行ったり、多くの人の前で発表をしたりと、そのような姿に憧れている方も多いと思います。

dStyleでは、いろいろな認定資格を活かして働く歯科衛生士をご紹介。

資格取得を考えている方や、同じ資格を持っている方も、ぜひ参考にしてくださいね。

今回の認定資格FILE

日本歯科医学振興機構(JDA) 臨床歯科麻酔認定歯科衛生士 内藤和美さん

PROFESSIONAL CAREER HISTORY

1989年
アポロ歯科衛生士専門学校 卒業

1998年
結婚と出産を機に休職(妊娠8ヶ月まで勤務)

2002年
2000年に第2子を出産し、子どもが幼稚園に入園したため復職

2020年
フリーランスとして3軒の歯科医院に勤務

2021年
臨床歯科麻酔認定歯科衛生士 取得

DH PROFILE

歯科衛生士歴:  29年
認定歯科衛生士歴:1年
休職年数:    3年

Interview

歯科衛生士による歯科麻酔に興味を持ったきっかけは?

私は日々の臨床の中で、主に歯周病治療に携わり、SRPを行っています。

SRP時には、患者さんに麻酔や施術の説明を行い、その後歯科医師の先生に麻酔をお願いします。

先生の診療中は、タイミングを見計らって声をかけますが、患者さんとカウンセリングをしていたり、形成中だったりすると、こちらの良いタイミングで麻酔をお願いできないこともあります。

また、もともと歯科衛生士学校の教務をしていたため、歯科衛生士が麻酔を行うことは、法律的に問題がないことを知っていました。

しかし、歯科医師の指示の下といえども、いざ自分で麻酔をするとなると不安な気持ちがありました。

一方で、しっかりとした内容の研修があった上で歯科衛生士が麻酔を行えるのであれば、自分のためだけでなく、歯科医院や患者さんにとってもメリットがあるのではないかと感じていました。

先生の治療の流れを止めず、待ち時間が少なくなることで患者さんのストレスが軽減し、歯科衛生士自身も自分の治療の手順を組み立てやすくなるからです。

そこで、日本歯科医学振興機構の研修を受け、認定資格を取得したいと思いました。

患者さんにスケーリングを行う内藤さん
患者さんにスケーリングを行う内藤さん
認定講習会を受けてどうでしたか?

講習会のはじめに、歯科衛生士による麻酔行為は法律上問題がないことを説明してもらったことで、安心して受講することができました。

その後の資格を活かそうという意欲にもつながりましたね!

私自身フリーランスとして仕事をしているため、講習会には1人で参加しましたが、相対的歯科医行為の範囲を歯科医師と歯科衛生士が一緒に学ぶことはとても大切だと感じました。

院長先生を含めた同じ歯科医院のメンバーで受講すると、院内の共通理解が深まるので、経験年数が浅い歯科衛生士であっても不安が軽減されると思いますね。

認定資格のメリットはなんですか?

もちろんですが、麻酔に対する知識がぐんと増えました。

そして、「どのようにすれば患者さんに痛みを与えることなく麻酔を行えるか」ということを日々考えるようになりました。

今までは、先生が麻酔を行っていても、日常の何気ない場面としてとらえていました。

しかし、資格を取ってからは、どこにどのように打っているんだろう…と、覗き込んでまで見学させてもらうようになりました。

先生が普段麻酔を行う時、どういったことに気を配っているか、何に注意しているのかを知ることができたことによって、先生への尊敬の念も増しました。

診療に対する意識や見る視点が変わったことは、私にとってすごく大きな変化でしたね。

普段の診療に対する考え方や視点が変わったと話す内藤さん
普段の診療に対する意識や視点が変わったと話す内藤さん
現在どのように認定資格を活かしていますか?

日々の診療で麻酔を行っています。

初めて患者さんに麻酔を行った時は、やはり「痛みがないか」ということがいちばん気になりました。

以前勤務していた歯科医院では、先生が麻酔を行った後、患者さんから“今日の麻酔痛かった〜”と言われることがあったんですよね。

そのため、自分が行った麻酔についてもそのように言われないかすごく心配でした。

でも、私が初めて麻酔を行った患者さんは、麻酔後とくに痛がる様子もなく、自然な反応だったんですよね。術後の疼痛もなかったようなので、とてもホッとしたことを覚えています。

そこで、他の患者さんにも、歯科衛生士の私が麻酔を行うことについてどう思うか聞いてみたんです。

どの患者さんも、“全然いいですよ!安心してお任せします。”と言ってくれて、すごく嬉しかったですね。

診療中に麻酔を行っている様子
診療中に麻酔を行っている様子

また、今までは1時間のアポイント枠があっても、麻酔のために先生を待つ時間ができ、SRPにかける時間が減ってしまうことがよくありました。

しかし、自分で麻酔ができるようになったことで、アポイントの時間を存分に使えるようになりました!

それに、麻酔が奏効していない部位があっても自分で追加麻酔を行えるので、治療を中断する時間も生まれません。

その日の治療の流れを、最初から最後まで自分で組み立てられるようになって、スムーズに効率良く動けるようになりました。

これから認定資格取得を考えている人へメッセージを!

歯科衛生士がこの資格を取ったから麻酔ができる!ということではないと思うんですよね。

それよりも資格を取ろうと思った背景や、資格を取ることによって自分の診療に対する考えが変わったり、知識が増えたりすることの方が大切なのではないかと思います。

知識が増えると自分の仕事に自信をもてるようになり、患者さんにさまざまな形で還元することができます。

信頼関係も構築しやすくなると思うので、興味のある方はぜひ目指してみてください!

わたしの診療スタイル

麻酔を行う時は、しっかり時間をかけて患者さんの不安を取り除くようにし、リラックスできるような会話を心がけています。

また、なぜ歯周病になってしまったのかということや、SRPや麻酔が必要な理由を説明し、患者さんが自分の現状を理解できるように努めています

患者さん自身が口腔内の現状を正しく理解できると、治療に積極的に取り組んでくれますし、協力も得られやすくなります。

信頼関係を築くためにも、大切なステップだと思っています。

臨床歯科麻酔認定歯科衛生士 内藤和美さん

FAVORITE TOOL

ヨシダのネクストビジョンです。

ヨシダのネクストビジョン
ヨシダのネクストビジョン

ネクストビジョンについては、歯科衛生士学校の教え子が勤務している歯科医院に導入されていて、見学しに行ったことがきっかけで知りました。

それまではマイクロスコープを使っていたのですが、ネクストビジョンはマイクロスコープよりも操作が楽で安価なんです。

感染根幹治療の際に使用すると顕微鏡加算をとることもできるので、勤務先の院長に導入してはどうかと提案してみました。

デモ機を使ってみると、院長だけでなく患者さんからの評判も良かったため、2軒の歯科医院で導入してもらえることになりました。

歯肉の小さい傷や歯間ブラシを挿入する角度など、ちょっとした場面でも手軽に撮影・記録できるところが気に入っています

ネクストビジョンを使用する様子
ネクストビジョンを使用する様子

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