わたしのDHスタイル #43 幸田初美さん『口から食べることの大切さを伝えたい』

歯科衛生士は社会的価値の高い大切な職業であり、この社会になくてはならない存在です。

dStyleでは、今まさに臨床の現場ではたらいている方々にスポットライトを当て、等身大の歯科衛生士ライフを語っていただきました。

このインタビューが、歯科業界で輝くきっかけになれば嬉しいです。

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今回は、歯科衛生士歴14年の幸田初美さんにお話を伺いました。

歯科衛生士免許を取得後、一般歯科へ就職した幸田さん。結婚、出産を機に退職するも、歯科衛生士の可能性に気づき、7年のブランクを経て地元の一般歯科にパートとして復職しました。

働く中で口腔健康管理に興味を持ち、介護保険施設にパートの専属歯科衛生士として転職。そこで2年経験を積み、現在はふたたび一般歯科にて、フルタイムで臨床を行っています。

歯科衛生士 幸田初美さん
歯科衛生士 幸田初美さん

歯科衛生士を目指したきっかけ

実を言うと、もともとは看護師を目指していました。ですが、いろいろあって諦めて歯科衛生士になったんです。

そんな歯科衛生士人生の幕開けだったので、 歯科衛生士学校時代は、 もちろん授業が面白いわけはなく…まったく聞いておらず、 勉強する意味も分かっていなかったですね。

歯科衛生士学校卒業式
歯科衛生士学校卒業式の幸田さん(右)

歯科衛生士になってもはじめはやりがいを感じず、歯科衛生士としてのプライドもありませんでした。

そんな私も今では、 歯科衛生士も素晴らしい職業であり、患者さんの人生に寄り添える貴重な存在であることを実感しています。

歯科衛生士として向上するために、やりがいとプライドも持って、努力する日々です。

歯科衛生士人生の転機となった出来事

去年の秋、嚥下障害を患っていた父が、最終的に“食べたいけれど、食べられない”状態となり、延命処置はせずに亡くなりました。

その経験を経て、 改めて“口から食べること”の大切さを身に染みて感じ、訪問歯科の重要性を痛感したんです。

少しでも多くの方に、このことを伝えて、訪問歯科に興味をもってもらいたい、という思いで、現在はSNSを使って発信をしています。

インスタグラム
Instagram(@dhhatsu)での発信

また、現在勤務している歯科医院で、訪問歯科の介護保険サービスの一つである居宅療養管理指導を立ち上げ、 導入を行いました。

一般診療であっても、 “歯”だけを診るのではなく、 全身疾患とのかかわりや、口腔機能などのさまざま面で患者さんに寄り添っていきたいと思っています。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格取得への挑戦

もともと口腔健康管理の大切さは感じていたのですが、父のことがあり、それだけでは足りないなと思ったんです。

やっぱり嚥下、“口から食べること”が一番大切なんだと実感しました。

口腔健康管理は、器質的口腔ケアだけではなく、機能的口腔ケアも大切。だからこそ、嚥下に関しての知識が必要だと感じたんです。

現在、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格を得るために、学会に入会し、eラーニング講座を受けています。

学会に入会してから2年以上経たないと、試験が受けられないので、今は勉強中です。

コロナの影響でwebセミナーが増えたので、この機会に興味があるものには、なるべくセミナーを受けて勉強するように心がけています。

eラーニング講座受講中の幸田さん
eラーニング講座受講中の様子

また、摂食嚥下だけではなく、歯科と全身疾患の関わりなどにも興味をもっています。

今までは、「歯が痛い」「では治しましょう」というように“口だけ”を考えていたのが、最近では、“口腔と全身は繋がっている”といわれています。

私は、歯科だからこそできる全身へのアプローチがあると思いますし、歯科医療は健康寿命をも延ばすことのできる、命にかかわる大切な医療だと信じています!

仕事をする上でこだわっていること

患者さんの目線に立って接すること、そして寄り添うことです。

患者さんは、不安をもって歯科医院にこられる方がほとんど。だからこそ、少しでも患者さんの不安を和らげて、安心させてあげることで、「ここで治療が受けられて、本当に良かった」と思ってもらえるように心がけています。

そうすると、「すごく怖くて不安だったけど、幸田さんの言葉で安心できたよ」という感謝のお言葉をいただけることもあり、とてもやりがいを感じます。

基本的なことかもしれませんが、これが一番重要なことだと思っています。

患者さんの声に耳を傾ける。しっかり聞いて、しっかり答える。

歯以外の所にも目を向け、その方にとって将来リスクがあることがあれば、予防策とともに伝えることを大切にしています。

患者説明

これまでの人生経験の中で、やっておいてよかったと思うこと

高校生の頃に経験したアメリカ留学は、考え方が大きく変わった体験でしたね。

短期間の留学だったので、英語が身についたり、話せるようになったわけでもありませんでしたが、とても重要なものを得た気がしています。

私は、一人っ子だったからこそ、世界は広く、自分の住んでいる世界だけではないということ考え方は一つではなくさまざまであることを知り、視野が広がりましたね。

ホームステイ先のホストファミリーと
ホームステイ先のホストファミリーと

お気に入りのアイテム

エアフローが好きです。着色がよく取れますし、プラークもしっかり飛ばせるのでお気に入りのアイテムの一つです。

エアフロー使用中の様子
エアフロー使用中の様子

目指していきたい歯科衛生士像

患者さんの人生に寄り添える歯科衛生士です。

現在の勤務先に来院される患者さんは、お子さんから高齢の方まで幅広いのですが、長く通ってくださっている方がたくさんいらっしゃいます。

その方々が、さらに歳を重ね、診療所に通えなくなったとき、「通うのは難しい」とそこで終えてしまうのは悲しいことです。

だからこそ、“訪問”という形で繋げていけたらいいなと思っています。

そして、歯はもちろん大切ですが、その歯がすべて揃っていても、飲み込めなくて口から食べることができず、亡くなってしまう方はたくさんいらっしゃいます。

一日でも長く、“口から食べること”を支えてあげられる歯科衛生士になりたいです。

診療補助

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dStyleでは、“歯科で働く希望と可能性をあなたに”をコンセプトに、さまざまなフィールドで活躍する歯科衛生士の方々へインタビューを行っています。

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