歯科衛生士のみなさんは、毎日どれくらいの患者さんのメインテナンスを行いますか?
診療室の状況によっては、時間にゆとりを持って行えるときもあれば、チェアータイムを短縮して行わなければいけないようなときもありますよね。
また、今年は新型コロナウイルスの影響によって、これまでのメインテナンス方法を変えたり工夫したりした方も多いのではないでしょうか。
さまざまなメインテナンス方法がある中、dStyleでは、経験年数10年以上のベテラン歯科衛生士に、普段のメインテナンスや医院での感染対策についてインタビューを行いました。
このインタビューをきっかけに、ご自身のメインテナンスを見直すきっかけになれば嬉しいです。
***
今回は、歯科衛生士歴19年目の西田朱実さんにお話を伺いました。
西田さんは、名古屋市内の医療法人会心会 あんどう歯科クリニックに勤務して10年目。
院内ではいろいろな業務を任されることが多く、日々の歯科衛生士業務に加え、後輩スタッフの教育や院内勉強会の講師も行っています。
院外の活動としては、全国に拠点をもつスタディーグループTeam GLWBの中部エリアを代表するチーフとして、20人以上の会員をまとめています。
現在勤務している歯科医院のコロナ対策はどうしている?
基本的なことですが、マスクやゴーグルの着用、グローブは患者さんごとにかならず交換し、交換する際には手指消毒を行っています。
また、診療室は常に換気し、チェアは患者さんごとに消毒。使用器具の滅菌や消毒も今まで通り徹底的に行っています。
加えて、受付には飛沫防止シートを設置し、待合室はイスを少なくすることで、患者さん同士のソーシャルディスタンスが保たれるようにしています。
体調管理としては、毎朝出勤したスタッフの検温を徹底し、来院する患者さんにも検温のご協力をお願いしています。
基本的なことをきちんと守り続けていくことが大切だと考え、患者さんが不安を感じないよう日々気を付けています。
当院では、患者さんの口腔内の状態や生活環境によってメインテナンスの間隔を変えています。
基本のメインテナンスは3ヵ月に1回45分のチェアタイムで、以下のようなタイムスケジュールで行っています。
- 導入、問診:3分
- パノラマ撮影:3分
* 2年ごとに撮影。また、口腔内の状態が変わり前回撮影時から半年経過していれば撮影する。 - カリエスチェック、歯周精密検査:10分
- 口腔内写真撮影:5分
* 11枚法で1年ごとに撮影。 - スケーリング:10分
- 患者さんへ検査結果の説明やTBI、その他指導:10分程度
- 次回予約、片付け:3分
SPTで毎月来院する患者さんについては、チェアタイム30分でメインテナンス業務を行わなければいけません。
そのため、患者さんごとにどのような処置が必要なのかを、担当歯科衛生士が考えて処置を進めていきます。
また、SPTの患者さんにも、半年に1回はかならず精密検査を行います。
とくにメインテナンス期間を延ばすことなく、以前と変わらない内容で行っています。
患者さんにとっても、メインテナンスはコロナウイルスに関係なく必要なことであり、口腔ケアによって口腔内や全身の健康を守れることに変わりはありません。
適切な間隔と思ってメインテナンス期間を設定しているので、感染管理に十分留意した上で行っています。
患者さんの話を傾聴することです。
傾聴することによって、患者さん自身の性格や家族、仕事、全身の健康状態など、たくさんの情報を得ることができます。
また、患者さんも“この人は自分のことをわかってくれている”と思い、信頼してくれます。
もちろん一度話を聞いたからといってすぐに信頼関係ができるわけではありません。
しかし、コミュニケーションの第一歩として、「患者さんの話を聴くこと」というのは、私がいちばん大切にしていることです。
超音波スケーラーでおなじみのP-MAXは使いやすく、とても気に入っています。
チップの種類がたくさんあり、プローブ型の『TK1』や『HY1』は特に重宝しています。
スケーラーは、刃が硬すぎず、歯石がしっかりと除去できるLMキュレットを使用しています。手も疲れないので、とても気に入っています。
フロアフロスは、隣接面のポケット内にあるプラークをしっかり取り切れます。
そのため、メインテナンス時はもちろん、患者さんのセルフケア用品としてもおすすめしています。
口腔内写真は、記録として基本的に11枚撮影しています。
メインテナンス時には、患者さんに口腔内の現状や変化を伝えるツールとしても活用しています。
まずは感染管理をきちんと行っていることをお伝えした上で、口腔ケアの重要性をお伝えしています。
メインテナンスを行うことは、全身の健康を守り、さまざまな病気を予防することにつながるということをあらためて伝えることで、来院が途絶えないようアプローチしています。
コロナウイルスに限らず、今後も新しい細菌やウイルスによって感染拡大が発生することがあるかもしれません。
「コロナ禍だからメインテナンスができない」ではなく、必要なメインテナンスを行うために「感染管理を怠らない」「患者さんに不安を与えない」「自分たちも感染から身を守るため対策をとる」ということを工夫しています。
当院では、お子さんからご年配の方まで、幅広い患者さんがいらっしゃいます。
ライフステージによって、気をつけることやるべきことは違ってくるため、幅広い知識を身につけるために日々勉強をしていきたいと考えています。
現在私は、丸橋理沙さん主宰のスタディークラブTeam GLWBで中部エリアのチーフをしています。
ただ知識や技術を学ぶだけでなく、歯科衛生士として「より良く」「自分らしく」働きたいと考えている仲間と一緒に、切磋琢磨できる貴重な場です。
今年は、中部エリア主催でスタディークラブ初の総会を行います。全国の会員が集まる上、講師の先生方もとっても豪華なので、私自身とても楽しみにしています。
開催日時:2020年11月29日 10:00〜16:00
開催場所:Zoomによるオンラインセミナー
この総会をきっかけに、たくさんの歯科衛生士の方々にスタディークラブの活動を知っていただきたいです!
ご興味のある方は、rdh7.0203@gmail.comまでご連絡ください!
***
dstyleでは、“歯科で働く希望と可能性をあなたに”をコンセプトに、さまざまなフィールドで活躍する歯科衛生士の方々へインタビューを行っています。
ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひご応募ください♪