認定歯科衛生士FILE #13『日本歯科衛生士会 糖尿病予防指導』竹内里奈さん

学会などが認定している認定歯科衛生士制度。

専門性の高い臨床を行ったり、多くの人の前で発表をしたりと、そのような姿に憧れている方も多いと思います。

dStyleでは、いろいろな認定資格を活かして働く歯科衛生士をご紹介。

資格取得を考えている方や、同じ資格を持っている方も、ぜひ参考にしてくださいね。

今回の認定資格FILE

認定歯科衛生士FILE #13『日本歯科衛生士会 糖尿病予防指導』竹内里奈さん

PROFESSIONAL CAREER HISTORY

2012年
日本歯科衛生士会学生部 所属

2015年
鹿児島歯科学院専門学校 卒業

2015年
竹内歯科クリニック 勤務

2018年
地域糖尿病療養指導士 取得

2020年
糖尿病予防指導認定歯科衛生士 取得

DH PROFILE

歯科衛生士歴:  5年
歯科衛生士会員歴:8年
認定歯科衛生士歴:3年
休職年数:    0年

Interview

歯科と糖尿病の関係に興味を持ったきっかけは?

私が歯科衛生士として今の職場で働きはじめた頃、たまたま友人の一人が当院の患者さんとして通院していました。

今までプライベートで出かけたりしていた時は知らなかったのですが、歯科衛生士と患者という立場を通じて、その友人が1型糖尿病に罹患しており、血糖値のコントロールに困っていることを知ったのです。

そこで、私は何か力になれないものかと糖尿病について調べてみることにしました。

その際に、最近では歯周病が糖尿病の第6の合併症であるといわれていることを知り、ますます興味を持つようになっていきました。

認定資格を取るまでに大変だったことは?

糖尿病について理解を深めるのに時間がかかりました。

当院を受診されている患者さんの中には糖尿病の方もいらっしゃったので、“HbA1c”、“血糖値”などといったワードはなんとなく耳にしていました。

しかし、その数値が何を表すのか、糖尿病の疾患についての分類などといった細かいことは全然知らなかったので、いちから勉強するのが大変でした。

しかし、糖尿病の疾患やさまざまな数値の基準値がわかることで、「今回はこのくらいだったよ!」と言われたときに「前回より改善してますね!」と反応したり、「夜中に食べてしまう」という話を伺ったときにも、「こういう食べ物だったら負担になりにくいですよ」などと、とアドバイスができるようになりました。

こういったチェアサイドでのやりとりの際に、何かノートを引っ張り出してこなくても答えられるようになったため、患者さんのためになることを吸収できたかなと思います。

また、糖尿病予防指導の認定研修は、徳島大学で開催されます。

認定研修は合計4日間、土曜日の朝から日曜日にかけての研修が二度あります。私は鹿児島からの参加だったので、前日の金曜日に前乗りする必要があり、大変でした。

しかし、北海道から鹿児島まで、全国の歯科衛生士さんが集まって講習を受けるので、ここで歯科衛生士同士の交流の輪が広がりました。 

研修ではグループワークもあるので、その時に同じグループになった方々とは今でも交流があり、コロナの感染対策や普段の診療について相談しあったりしています。

資格取得の記念品の歯ブラシ
資格取得の記念品の歯ブラシ
資格取得までにどれくらいの時間がかかりましたか?

必修のカリキュラムを受講し、認定研修に参加するのに1年間かかりました。

ただ、私の場合は先に糖尿病療養指導士の資格を取っていたので、一部免除された単位もあります。

そのため、糖尿病予防指導の認定資格を取るには、1年以上かかる場合もあると思います。

認定資格のメリットはなんですか?

糖尿病予防の口腔保健指導や、管理にかかる専門的な知識と技能を習得することで、地域社会に貢献できることだと思います。

資格取得後は、歯のことだけではなく、患者さんの生活スタイルや食習慣、運動習慣などをお伺いすることによって、行動変容を起こす「きっかけ」が多くなりました。

糖尿病から肥満と糖、歯とも関係あるんですよ、暴飲暴食もカリエスリスクの上昇に繋がるんですよ、などとお伝えすることで、気づきを得てもらうということが診療の中で生まれているような気がします。

歯のことばかり言うと、またか…と聞く耳を持ってくれないような方でも、糖のことに絡めると、それなら頑張ろうと、歯周病の治療のために積極的に通院してくれたり。

そうして結果的に歯周病検査の数値が下がると、私自身もとてもやりがいを感じます。

また、多職種連携の中で対等に意見交換ができることも、メリットのひとつです。

専門的な知識を持つことで、医師や看護師などからプロフェッショナルな立場として扱ってもらえる機会が増えました(「先生」と呼ばれることも)。

そうして情報交換したことを院内で還元し、患者さんからの生活習慣の行動変容の仕方や糖尿病についての相談を受けた時に応えられるようになるというのは、大きなメリットです。

患者さんの中には、糖尿病のことに詳しい歯科医院にかかりたいという方がいらっしゃいます。

とくに、内科では医師と話せる時間が短いので、糖尿病に詳しい歯科衛生士が、食生活のことや心のケアなどのサポートを行えるということは、歯科医院にとっても大きなメリットになります。

糖尿病専門医の西田亙先生と
糖尿病専門医の西田亙先生と

歯科衛生士会入会のメリットとは?

いろんな研修会に参加でき、いろんな世代の歯科衛生士と情報交換ができるところがメリットです。

私自身、衛生士学校に入学した時から、歯科衛生士の活躍にすごく興味がありました。

そのため、学校以外でも情報を得られる場として歯科衛生士会の学生部会があるのを知り、早めに情報を得ておきたいと思って学生時代に入会しました。

歯科衛生士会では、例年、新人歯科衛生士向けのスキルアップセミナーが行われています。

マナー講習から専門的な歯科知識まで、接遇講師や材料屋さん、企業の方などいろんな分野の講師をお招きして、話を聞くことができます。

最近では、口腔機能低下症の検査キットや舌圧計についてなど、最新機器の研修会もありました。

セミナーの主なターゲットは新卒1年目の方なんですが、毎年新しい情報が出てくるので、私は毎年のように参加させてもらっています。

そして、セミナーに参加すると、他の地域で働くいろんな年代の歯科衛生士と出会うことができます。

それぞれのクリニックでどんな道具を使っているかを聞けたり、各地のセミナー情報を教えていただいたりするので、新しいことを知るきっかけになります。

徳島大学で行われた研修にて日本歯科衛生士会 会長の武井典子先生と
徳島大学で行われた研修にて日本歯科衛生士会 会長の武井典子先生と
今後の目標は?

「糖尿病と歯科」といえば「竹内里奈」といわれるようになることが目標です。

全国で糖尿病と歯科の大切さについて啓発活動ができればと考えています。

また、スキルアップしたいと思っているけどなかなか機会がない、復職したい、ブランクがあるからトレーニングがしたい、と思っている方のサポートができたらと思っています。

そのためには、自分のできることをどんどん広げていき、医科と歯科をつなぐパイプ役になれればいいなと考えています。

そして、糖尿病にもっと詳しくなれば、歯科受診の段階で未病を防ぐことにもつながります。

歯科治療の中で糖尿病かな?と思った時に内科の受診を促してあげることで、内科の先生が歯周病かな?と思ったときに、ここに紹介しようと思ってもらえるような歯科医院にしたいと考えています。

「糖尿病と歯科」といえば「竹内里奈」といわれるようになることが目標

これから認定資格取得を考えている人へメッセージを!

昨今、日本では糖尿病罹患者が年々増加傾向にあり、糖尿病予防として口腔健康管理が重要視されています。

今こそ、歯科衛生士も一歩踏み出して多職種連携の輪の中に入り、糖尿病予防・重症化予防を推進すべきだと思います。

これからの日本のために一緒に立ち向かいましょう。

わたしの診療スタイル

竹内歯科クリニックの主任歯科衛生士をしています。

診療では患者さんとのコミュニケーションを大切にしており、患者さんの口腔内だけでなく、全身の既往や服薬状況、生活習慣や食生活などに意識を向けて、ヒアリングを行っています。

そして、ヒアリングした中から、コーチングや行動変容に繋がるヒントを見つけ出し、患者さんのセルフマネージメントを支援しています。

そのためにも、日頃からいろんなことに興味を持って、いろんな分野の知識を吸収するようにしています。

患者さんにとって竹内歯科クリニックがサードプレイスになるように心がけています。

竹内歯科クリニックで配布しているニュースレター
竹内歯科クリニックで配布しているニュースレター

FAVORITE TOOL

Hu-Friedyのグレーシーキュレットを普段から愛用してます。

中でもおすすめは、オリジナルスタンダードの15/16(FIT11/12)、17/18(FIT13/14)です。

頸部が複屈曲になっているので、ハンドルを水平に近い角度で持つことができます。そのため、開口位の少ない患者さんでも、到達しにくい部位にも届きやすいです。

また、ポジショニングがしやすく、臼歯部のスケーリング時のレストも近くにおけて使いやすいです。

ヒューフレディ グレーシーキュレット
グレーシーキュレット

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